未来の見える経済成長
「ベトナム統計総局は1月6日、2024年の実質GDP成長率(推計値)を前年比7.09%と発表した。」(JETRO ビジネス短信2025.1.9)
一国の経済状況は、単なる成長率だけでは判断すべきではないし、ましてやちょっとした旅行で目にしたものであれこれ言うべきものではない。ここに記すものは、そういうことを踏まえた上で、たった6日間ではあるが、それでも感じたベトナムの活気の一端である。
ハノイでもホーチミンでもバイクによる交通渋滞が問題視されていることは、別のページで指摘したが、この対策として両市とも高架公共鉄道の建設を進めており、一部は開通し、市民が利用している。ハノイでは10路線の建設をめざしており、全通でないものも含めてそのうちの2路線が営業している。その1つを体験乗車した。
ハノイの高架鉄道の車内外の様子。退勤時でなかったためか空いていた。「ハノイメトロ」と呼ばれ、2025年1月時点で、2021年に開業した2A号線(カットリン線。緑色の路線図)と、2024年8月に開業した3号線(ヴァンミエウ線。薄鶯色の路線図)の2路線である。
ホーチミン市では2024年12月に1号線が開通したばかりだった。日本の技術と支援で建設された。一部が地下鉄となっている。その部分を含むところに乗ってみた。
ホーチミン市のメトロ1号線の内外。休日昼で混んでいた。いずれは上右のような路線展開となる。水色の線が開通しているところ。
高層ビルの多さも経済力をそのまま示すものではないが、特にホーチミンには、「東南アジア最高峰(461.2m)」という「ランドマーク81タワー」や、私が上って市内を見下ろしたホーチミン市第2位の高さを誇る「ビテクスコ・フィナンシャルタワー」など、それらが林立していた。タワーマンションも多く、ガイドの説明によると、外国人の投資対象のものばかりではなく、海外で財をなしたベトナム人や、市内在住でいた人々の購入用でもあるという。
ビテクスコ・フィナンシャルタワー49階の「スカイデッキ」からサイゴン川と写真真ん中のバーソン橋(Cầu Ba Son)、ランドマーク81タワーを見る
(左)高架鉄道から撮ったランドマーク81タワーとタワーマンション群 (右)私が上ったビテクスコ・フィナンシャル・タワー。飛び出ているところはヘリポート。
ハノイやホーチミンの今後も予定されている高架鉄道網建設、おそらく将来計画されるであろう両市を結ぶ「新幹線」建設、市民のバイクが乗用車に変わるであろうことなど、この国の経済発展にはまだ広大な未来があると思った。ベトナム政府も2030年代に先進的な工業国となることを目標として掲げているとのことである。