ドン・キホーテの世界に少し浸る
いつかはスペインに行きたいと思って、有名なセルバンテスの『ドン・キホーテ』(1605年前編、1615年後編出版)を、原文をかみくだいた日本語訳とし、親しみやすい絵も付けた、ヴィルジリ・妙子、ヴイルジリ・クリスティーナ・幸子編訳『ドレの絵で読む ドン・キホーテ』(新人物往来社)をかつて読んでいた。話の要は、ラ・マンチャ地方に住んでいた50歳近くの下級田舎貴族の男が、騎士道の物語を読んでいるうちに頭がおかしくなり、自分が世の悪をただす騎士だと妄想して、「ドン・キホーテ」と名乗り、おんぼろの武具を身にまとい、長槍を持って痩せ馬に乗り、近所の頭の弱い農夫サンチョを従者として旅に出た、というものである。かってにある村娘を高貴な姫だとして想定し、彼女のためにも悪と戦うというより深い妄想に落ちていく。そして、あちこちでとんちんかんなことをしでかすのである。風車を悪の巨人とみて突撃しボロボロになる、というのが最も有名なところである。「2002年5月8日にノーベル研究所と愛書家団体が発表した、世界54か国の著名な文学者100人の投票による『史上最高の文学百選』で1位を獲得した」(Wikipedia「ドン・キホーテ」より)という有名な作品が本家スペインで扱われている地に行って、ドン・キホーテを妄想したい、といくつかを旅程に組み入れた。特に、「巨人の風車」のモデルとなったところには行って見たかった。行ったのは2024年4月16日。たいへんな好天に恵まれて、撮りたかった写真が撮れたのは幸いだった。モデルとされる風車は別々の2か所にあるが、マドリッドから鉄道で行けてさらにタクシーを使えば簡単に現地まで駅前から往復してくれる、地の利の良い方である、Campo de Criptana(カンポ・デ・クリプターナ)の方に行った。駅は急行が停まり、便数も多いアルカサル・デ・サンファン駅である。ここに行く観光客が多いため、タクシー料金は往復定額30€(記憶違いだったらお許しを)で、現地で写真を撮り終えるまでずっと待ってくれる。
全部で10基風車があるが、私が行った10時ころは多くが逆光となってうまく撮れなかった。なんとか撮ったのが以上3枚。1枚目の大きく写った風車1基が2枚目の右のものと同一。3枚目には飛んでいる飛行機が写った。
正確な場所は覚えていないが、タクシー内より撮った、駅からの途中にあったドン・キホーテ像
1929~30年にセビーリャで開かれた万国博覧会の際、マドリッドでも都市の近代化がなされ、その一環として都市の広場拡大として「スペイン広場」が創設され、同時にそこにスペインの偉大な作家セルバンテスを記念する記念碑が建てられたという。セルバンテスとドンキホーテの像がある。
マドリッド、スペイン広場のセルバンテス像とドン・キホーテ像
このスペイン広場の近くの地下鉄プラザ・デ・エスパーニャ駅には、『ドン・キホーテ』の全文が貼られている。