1日目(11月27日)


 成田→ヴァンクーヴァー→エドモントン→イエローナイフ とエアカナダ機を2回乗り継いで、イエローナイフに到着したのが現地時間で午後9時前。荷物を取ったり、出迎えた日本人ガイドの若い女性の話を聞き、他のツアーの一行と1つのバスに乗せられ、ホテルに着いたのは午後9時半頃だった。「部屋にレンタル防寒具があるのですぐ着て15分後にロビーに来てください。」とせかされたため、気付くとせっかく持ってきた目出し帽やヘッドライト、リモートシャッターを置いたままにしてしまった。
 オーロラ観測地は、このホテルがいくつもあるダウンタウンからバスで30分の20km離れた「オーロラヴィレッジ」というところであった。バスにはいくつかの旅行社が集めた、様々なホテルに宿泊する21人の日本人ばかりが乗った。オーロラヴィレッジに近づくと、ガイドが「オーロラが出ています!」と言ったので、その方を見るが、イメージしていた光輝く緑色のオーロラは見えなかった。
 観測地に着き、今夜の休憩所の「TeePee」(ティーピー。ネイティヴの言葉で「住居」の意味)というテントの場所やトイレ、ビュッフェ、観測向けのちょっとした丘の数々を案内してもらって、0:30まで、いよいよ観測となった。幸い天候は快晴で、日本では見られないような数多くの星々が見えた。北極星がほぼ頭上にあり、北斗七星の大熊座とカシオペア座とが一目で見える。東の空に目をやると、オリオン座が上り切ったばかりで、牡牛座の昴(すばる)もはっきりと見える。この牡牛座にひと際明るい星があり、ホテルに戻ってからネット検索したら木星だとわかった。何分か歩いているうちに、頬が痛くなってきた。「これがマイナス20℃の世界か!」と実感した。
 別のツアーの添乗員が「今夜は天気は5段階で4、オーロラは2」と説明した。この後、初めて知ったのだが、このカナダのオーロラは普通白いぼーっとした雲や霞のようにしか肉眼では見えず、カメラに撮って初めて緑などの色が見えるのだという。ネットなどの写真では、皆緑色に輝くオーロラを撮っているのだが、あれらはすべてカメラの賜物だとのこと。本当にオーロラが強いときに、肉眼でもあのように見られることがあるという。カメラを持って来ず、肉眼で見に来た方々はがっかりしていた。ただ、中には高性能なスマホと簡単な三脚で赤色まで鮮やかに撮っていた方もいたので、スマホカメラのレベルはたいへん高くなってきたのだと認識させられた。
 1日目からオーロラを見られるとはラッキー、と思いながらカメラと三脚でオーロラだという白い物を撮りまくった。日本である程度練習してきたのだが、いざ本番撮影となると、ヘッドライトも無く、何より老眼が進んでいるため、星に焦点を合わせようとしてもうまく見えず、結局最後まで完全にピントが合った写真はほとんど無かった(フォーカスリングの距離を「∞」に合わせていたのだが、現地で皆の記念写真を撮って販売しているプロのカメラマンに訊くと、「∞にも微妙に色々な段階がある。」とのこと。カメラ撮影は奥が深い!)。だが、最初に30秒ほどのシャッタースピードで撮った写真を液晶モニターで見て、緑色のオーロラが写っているのがわかったときは感動した。そして撮りまくっているうちに、しだいに「ああ、あれは白い雲が垂直に立っているようなものだから、普通そんな雲は無いからオーロラかな」などと自分でもオーロラが分るようになっていった。
 そんなこんなの最初の試行錯誤で、せっかくオーロラが出てくれたのに、ほとんど星が点でなく小円になったピンボケ写真ばかりだったが、「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」で2枚ばかりお見せできるものを撮ることができた。なお、すべての写真は、Canonの5DMarkⅢ レンズはEF16-35mmF4L、ISOは2500前後で30秒前後のシャッタースピードである。 最適時間がわからないので、自分で数を言って、20秒、30秒、40秒・・など試行錯誤した。


1日目はこれがベストショット。生まれて初めてのオーロラとの遭遇。左側のオレンジはオーロラではなく休憩テントで焚く薪ストーブの煙。



日本に帰ってから再度画像を確認したら、この日の写真の右側にうっすらと赤いオーロラも出ていた。


 


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