初めに


 今まで数々の美しい光輝く緑のオーロラや、まれに赤みのかかったオーロラを写真やビデオ画像で見るにつけ、「一生に一回はこの目で見たい、できればカメラに収めたい。」と願ってきました。2024年のテレビニュースで「今年から来年は太陽の活動が活発で、オーロラ出現の確率が高く、そして広い範囲で大規模なものが見られるだろう。」と知り、また、ときおり「北海道で赤いオーロラが見られた。」などのニュースを聞くにつけ、オーロラ鑑賞への意欲は高まる一方でした。

 いろいろ調べた結果、カナダのイエローナイフというところは、オーロラ出現の確率が年間で90パーセントを越えている、という事でここに行こうと決めました。そしていろいろなツアーを比較して、一番、二番の安さを競っている会社のものに参加することにしました。闇夜の長い新月に近い月齢(12月1日が新月)と、町内のゴミ網週番日程を考慮し、また12月以降積雪を心配しなければならない雪国県在住事情から、11月下旬から12月初めの36日(2泊は機内)、鑑賞チャンス4晩のツアーに個人参加しました。あとは晴天を期待するだけでした。

 1日目は、様々な旅行会社の集めた日本人ツアー客21名が1台のバスに乗せられて、イエローナイフのダウンタウンから約20kmの「オーロラヴィレッジ」という、薪暖房、ホットドリンク付きテント休憩所(TeePee)のある観光用のオーロラ見学地に行きました。以後、毎日21:300:50まで、この中の好きなところで観測したり撮影したりしました。ただ、毎晩マイナス20℃~マイナス30℃となる厳寒下では、レンタルの防寒具を付けていても寒さが襲ってきて、目出し帽を付けてやっと頬の痛みが減り、リモート操作がうまくいかないときの直指でのシャッター押しは指先がとても冷たくなるなど、これまた人生初の寒さ痛さの体験でした。


 

イエローナイフのダウンタウンの午後4:30近くの様子。ここでマイナス19℃


  

マイナス30℃耐久レンタル防寒具とイエローナイフの観測所イエローヴィレッジのTeePeeという休憩所



 結果はというと、幸いなことに、観測チャンス4晩のうち3回は晴天にも恵まれ、ばっちり見ることができました。緑色のものだけでなく、憧れていた赤やピンクのオーロラまで撮影することができました。オーロラ撮影はオートフォーカスではなくマニュアルでピント合わせをするのが常識だということですが、進んでいる老眼のため、どうしてもピント合わせがうまくできず、星が点ではなく小さな円になっている「ピンぼけ」写真が多くなったのですが、「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」で、相対的に少しはマシなものが撮れたので、恥をしのんでアップします。
 このイエローナイフのオーロラは、肉眼では普通薄い白い雲や霞のように見え、写真撮影して初めて私たちが「オーロラ」として知っている緑やピンクなどの色が出てくるものでした。知らない人はそれがオーロラだとは肉眼では絶対わかりません。ネットで調べると、肉眼は暗いところでは色の判別が難しく色の付いている物も白や灰色にしか見えないため、暗い夜空の弱い光のオーロラは白にしか見えず、他方、カメラは相対的に長い時間の光の取り入れが蓄積されるためオーロラの色を捉えられるということのようです。オーロラがものすごく強い光として現れたときだけ、いわゆる「オーロラの写真」として私たちが認識しているものが肉眼で見えるとのことでした。肉眼だけでオーロラを見よう、として行くとがっかりするだけです。ただし、これはカナダのイエローナイフというところのオーロラについての話です。アラスカや北欧の国々にも好条件の撮影地があるので、どなたかのそちらに行かれたレポートを参照してください。
 社会科教育にはあまり関連が無い、私の個人的趣味からの旅行報告ですが、「地理で、零下20℃の気候の様子やオーロラそれ自体の話を授業でするときの参考にはなるかな」、という点で社会科の先生に情報提供することになれば幸いです。