3つの代表的教会に行って見た


 前々からアイルランドの教会にある疑問を持っていた。「アイルランドは典型的なカトリックの国なのに、なぜ代表的な観光地でもある、ダブリン教区の主教会クライスト・チャーチ大聖堂と、アイルランド最大のこれもダブリンにある聖パトリック大聖堂は純粋なカトリック教会ではなく、イギリス国教会のものなのか?」ということ。従って、ローマ教皇がアイルランドに来たときはこれらの教会には行かず、ダブリン中心部の一角にある「St Mary's Pro-Cathedral(聖マリア臨時司教座聖堂)」をカトリックの代表的教会として訪問しているのである。
 この疑問は、Wikipedia「聖マリア臨時司教座聖堂」を見て氷解した。それによると、「ダブリンには聖パトリック大聖堂および聖三位一体大聖堂(一般的にはクライストチャーチ大聖堂として知られる)の2つの司教座聖堂が置かれていた。しかしイングランドによる支配とイングランド国教会成立により、1530年代、この2つの教会堂はアイルランド国教会に宗旨替えをしてしまい、カトリック教会の司教が赴任することの出来る司教座聖堂はダブリンから失われた。カトリック教会は今日に至るまで、ダブリンの正式な司教座聖堂はクライストチャーチ大聖堂であると定めている。しかし、上記の理由によりカトリック教会はこの大聖堂を使うことが出来ないため、暫定的に司教座を置いているのが聖マリア臨時司教座聖堂である。」ということであった。2階建てバスや英語を使うことだけがイギリスの強い影響のものではなかった。いやむしろこの教会問題の方が、アイルランドのアイデンティティに、イングランドという大きなくさびを打ち込まれている気がするのだが、これを解決しようという大きな動きは無いのだろうか? そんな疑問を持ったままでいる。
 とりあえず、せっかくアイルランドに来たのだからと、この2つの大聖堂と、純粋なカトリックの中心教会に足を運ぶことにした。
 2つの大聖堂は予約をしていなくても簡単に入れた。とにかく両方とも広かった。また、日本語のパンフレットも置いてあって、見どころも分りやすく案内してあった。ただし、今回のアイルランド旅行は、歴史や宗教、文化財を深掘りするものではないので、簡単にそれぞれのイメージを中心に紹介したい。


クライスト・チャーチ大聖堂
 


ダブリン守護聖人の1人、聖ローレンスの心臓


ここには、アイルランド最大、ダブリン最古の地下聖堂がある。


この地下に置かれているマグナ・カルタの写し


大聖堂のオルガンパイプの中で見つかったという、ネコとネズミのミイラ化したもの



聖パトリック大聖堂


教会の北側すぐ横に「聖パトリック公園」があり、市民の憩いの場になっている。


    

左は聖パトリックが改宗者に洗礼を施すため、近くの井戸の水を使った、その井戸に被せていた石板とのこと。右は若いころの聖パトリックをイメージして作られた像。


『ガリヴァー旅行記』の作者として有名なジョナサン・スウィフトは、1713年から1745年まで大聖堂の首席司祭であったため、彼の遺品やデスマスク、頭蓋骨などが展示されている。



 

聖パトリックの業績などを描いたステンドグラス。1800年代後期から1900年代初期にかけて作られた(日本語ガイド「あなたへのガイド」より)


初代大統領ダグラス・ハイド(任期1938~45年)と4代大統領エルスカイン・チルダーズ(任期1973~74年)の葬儀がこの大聖堂で行われたことを記念したコーナー。


2014年、第一次大戦勃発100年を記念して作られた、戦争で亡くなった人々への「追悼の木」



聖マリア臨時司教座聖堂


現在のアイルランド・カトリックの「総本山」。朝9:30ころ行ったが、人は少なく静かな場所であった。名前とカトリックの性格からマリア信仰を強く感じる教会であった。

 


アイルランドのスケッチのページ


アイルランドのホームページへ

全体のホームページへ