ありがた山のLUXバス


 尾籠な話で恐縮ですが、私が個人海外旅行で一番困るのはトイレです。特に長い時間バスに乗ることに抵抗があります。それは過去の経験がトラウマになっているためです。ある国でバスに乗っていたとき、急にお腹が痛くなってトイレに行きたくなりましたが、そのバスは路線バスだったので、トイレが付いていなくてたいへん焦りました。こんなときのために持ち合わせてきたストッパーを3錠も飲んだのですが、効き目が無く、我慢の限界が近づいていました。しかし、その路線バスを使ったことが1週間前に偶然あり、その途中のある停留所で降りたとき、すぐ脇のカフェ兼ベーカリーが、無料でトイレを使わせてくれたことを幸い憶えていたため、急遽その停留所で降り、事なきを得たのでした。そのバスは有名な観光地に行くため、人気の路線で、次のバスが1時間後に来たため、大きな日程変更をしなくてすみました。けれども、これがバスに長い時間乗ることのトラウマになってしまったのでした。
 2025年6月~7月のラトヴィア旅行で、行きたい場所として、リガから片道210kmのリアパーヤがあり、トイレが付いている鉄道は通っていなくて使えないため、バスを利用しなくてはなりませんでした。頭を痛めながら、Google Mapsでバスの時刻を見ていた時、他のバスと何か文字の色合いが違うLUXバスというのが目に入りました。そのバスのサイトを見ると、「トイレが付いている」と明示していたので、「これに乗ればトイレの心配がない。」と目の前が明るくなりました。そして、早速インターネットで予約を取りました。
 リアパーヤに行く日、9:00の出発前に、指定されている席に座りました。ところが車内を見渡したところ、トイレが見当たりません。すぐ周りの人に訊けば良かったのですが、予想や宣伝と違った! と頭がパニックになって、勝手に諦めてしまい、このときはお腹が調子悪くなかったのに、早速ストッパーを飲みました。バスが走り出してしばらく行ったところで、小用の兆しが出てきました。このまま我慢を続けられるだろうか、と考え続けて、いい天気の日だったにも関わらず、窓の外の景色を楽しむ余裕はありません。そのとき、前の方に座っていた人が通路を通って後の方に行って、少し経ったらバス前方の運転手の上のパネルに、見慣れた、男女のトイレを示す赤いピクトグラムが点灯しました。「あれ? トイレがあるのか?」と思い、その人が戻って来る様子を見ると、普通のバスの降車口の方から上って来ました。この瞬間、「降車口のところにトイレがある!」と希望が現れてきました。さっそくそこに行って見ると、降りる階段の脇に「WC」と書いてありました。座席からは見えなかったわけです。人間、心配事が無くなると、周りの景色を楽しむ余裕がでてくるものです。なんと、トイレの近くに無料の自動コーヒーマシーンがありました。さらに座席に戻ってよく見ると、飛行機の座席前に付いているようなタッチパネルがあり、映画なども楽しめるようになっているし、USBポートやコンセントも付いています。フリーのWiFiも。リアパーヤまで3時間20分かかりましたが、これで7ユーロ(1,120円)とは安いのでは?  トイレが付いているならこの5倍払ってもいい、などと思いました。リアパーヤからクルディガ、クルディガからリガに戻るとき、変則的な乗り方でしたが、もう2回利用しました。運行会社はラトビアのものではなく、エストニアのものですが、バルト三国を個人旅行で回る方にお薦めします。ただ、路線が下のように限られていますし、1日の本数が少ないので要注意。

  

左がLUXバス。右上が希望のトイレピクトグラム表示。


  

(左)降車口脇に男女共用トイレがあります。綺麗でした。 (右)フリーの自動コーヒーマシーン


  

座席前のタッチパネルとUSBポート


主要都市間の路線図。停留所はもっとあるので、利用したい方は 次のサイトで各ルートをクリックして見ると途中の停留所が分かります。Google Mapsと一緒に活用してみてださい。
例えば、リガからクルディガまでの直通はありませんが、リアパーヤ行きLuxに乗って、途中のSaldus Coach Stationという停留所で降り、そこから普通のバスに乗り替えて行く方法があります。

https://luxexpress.eu/en/all-routes/



  


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