あっと言う間の50分。水上人形劇
ベトナムの伝統であり、見て楽しいものに、水上人形劇がある。私はハノイの「ロータス水上人形劇場」のものを鑑賞した。観客は圧倒的に欧米人で、ほぼ満席だった。水上人形劇の「最古の記録は1121年、ハナム省ドイ寺に刻まれた碑文である。これは※李乾徳皇帝(1066-1127 李朝第4代皇帝 私注)の誕生日祝賀行事について記したもので、水泳する亀や仙女たちの舞踊が登場し、現代の演目と類似した情景が描かれている。・・・演目は池の中央部で行われ、池の大きさは縦15メートル、横10メートル・・・。豪華に装飾された」「寺院風の長方形の構造物」「・・・が舞台背景を形成し、人形遣い・・・など最大15人ほどを収容する。・・・伝統的に内部は三つの明確な空間に分かれる。中央の空間(ブオン・トロ)は人形遣いのための専用スペースで、腰まで水に浸かる。操り手たちは水面まで届く吊り下げ式のスクリーンで観客から隠されている。細い竹の細片で作られたこのスクリーンは視界を妨げず、操り手が人形の出入りを管理し、人形を操作する様子を確認できるようにしている。・・・人形は比較的軽い木材で作られ、植物性または樹脂性の塗料で鮮やかな色に塗られている。・・・最も単純な人形は、水没台座に堅固に固定された3~4メートルの水平竹竿で操作される。」
(サイトWorld Encyclopedia of Puppetry Arts 国際人形劇芸術百科事典 https://wepa.unima.org/en/water-puppets/?utm_より)

人形劇の舞台。簾の後に人形遣いたちがいる。寺か何かの伝統的建物が背景となり、そこから龍、麒麟、鳳凰、亀という、ベトナムで四聖獣と言われる動物と、龍が咥えた玉を図案化したものが中心に描かれた幕が垂らされている。玉が聖なるものの中心を示すものか? ベトナムの四聖獣については「THE VOICE OF VIETNAM 」のサイト「Sacred animals in Vietnamese culture and architecture」
https://vovworld.vn/en-US/culture/sacred-animals-in-vietnamese-culture-and-architecture-166542.vov を参照のこと。

初めに二人の女性が歌を歌った。

水の舞台の左右にバックミュージック担当の人々が並ぶ。

演目は九つあった。そのうち私が理解し説明できるものだけを紹介しよう。これは二番目の演目で「ドラゴン舞」というもので、ベトナムではおめでたい動物とされる龍二頭が火や水を吹きながら舞うもの。

五番目の演目「農作業」。左の二人の農民は左右に揺れながら田植えの様子を細かにリアルに表現していた。

これは演目の間に入った、4人の楽器演奏者のうち1人の首がいきなり伸びるもの。右は「子供の水遊び」。

「アヒルを捕まえるキツネをやっつける」では人間の男女の俳優が出てきて、水に浸かりながら人形と「共演」。
「ハウ・ドン」という演目。サイト「ASIA KING Hau Dong – Exploring Vietnam’s Unique Spiritual Tradition」によると、「ハウ・ドンは、・・・ベトナムの・・・母神信仰体系における儀式である。2016年、ユネスコはこれを人類の無形文化遺産として認定した。この儀式は、霊媒師を媒介として、人間と神々との霊的交流を行う形式である。儀式中、霊媒師は神霊が“憑依”した状態になり、神々が降臨してその身体を通じて顕現すると信じられている。この繋がりを通じて、霊は祝福を与え、守護し、災いを払い、人々の日常生活を助けることができる。ハウ・ドン祭は通常、母なる女神と四宮体系の神々を祀る寺院や祠で行われる。」というものである。下の人形たちの背の高い女性と思われるものが霊媒師であろう。


最後の演目は、「聖なる四つの動物の踊り」。龍、麒麟、亀、鳳凰が定番。だが、麒麟に見えず虎に見えた。龍は火を吹いた。
この他、黎朝を中国と戦って作ったレ・ロイが亀に剣を返す劇などがあった。この話は私のサイト「明の排撃と黎朝成立」
m-mikioworld.info/vietnamhishotoghuen.html を御覧ください。
あっという間に50分のプログラムが終わった。人形の動き、音楽、人間の俳優登場など様々な観客を飽きさせない内容が盛り込まれていた。