アイルランド料理の一端
私は食べ物については好奇心が旺盛で、特に各民族の料理の味付けや調味料にたいへん興味がある。アイルランドは初めての訪問地であり、当然その料理の特色を知ることに意欲を燃やしていた。ところが、である。たいへん残念なことに、アイルランドに到着したあたりで鼻風邪をこじらせて、料理の味がほとんど分らなくなっていたのであった!! 今回、ルフトハンザ北回り航空路でフランクフルトに入ってから、ラトビア、そしてアイルランドに行く予定だったのだが、フランクフルトでのフライトコネクションの時、パスポートコントロールがごった返し、40分以上は待たされる不運に見舞われた。ラトビア行きのKLM航空までの接続時間が1時間強、という、時間的余裕のない航空機接続を選んだ私が悪いのだが、今までこのような経験を幸いしてなかったのが裏目に出てしまった。結局パスポートチェックを終わってKLMのゲートまで必死に駆けつけたのだが、もうアウト! インフォで事情を話したら「明日の代わりのパリ経由のエールフランスのラトビア行き航空券を無償で発行してあげるが、今夜はフランクフルトの宿泊ホテルを自分で探しなさい。」と告げられてしまい、ネットで近くの一番安いホテルを急遽予約してタクシーでそこに行った。ただ、羽田で預けたラゲッジは自動的にラトビアにそのまま送られるということで、その中に入れた着替え、パジャマを取り出せなかったので、下着のままフランクフルトのホテルで寝ることになった。夜中に目を覚ますと、精神的ショックもあったからか、たいへんな寝汗を書いていた。これがその後の鼻風邪の原因だと思われる。幸い発熱はせず嗅覚と味覚だけがやられたのでコロナではなかったと思う。ホテル代、空港までの往復交通費で170€位の番外出費となり、ラトビアで予定していた1日がパーになってしまった!といういきさつで、本当に残念ながらアイルランドでいくつかの独自の料理を食べたが、最終日を除いて全く味が分らなかった。それでも頑張って報告しよう。アイルランドのホテルは倹約してレストラン、朝食も付いてない安いホテルに7連泊した。朝食は主にすぐ近くのレストランを利用した。ほぼ毎日のように行ったので、店の人にも顔を覚えられてすこしいい席に移してもらうなどの便宜をもらった。味が分らなかったが、アイルランドで真っ先に食べたのが「アイリッシュ・ブレックファスト」だった。イギリスの影響をうけたことの一つであろう。
ソーセージ、ベーコン、目玉焼き、ハッシュドポテト、煮豆が付くのはイギリスのと同じだが、目玉焼きの上の2つの「プディング」(ソーセージ)が付くのがアイルランドの特徴。黒いのは豚の血が混ざったもの、茶色い方はオートミールが混ざったものだということだ。
これは別の店にあった、セルフサービス方式でのアイリッシュブレックファストの各料理
この味覚喪失の間よくおせわになったのが、サンドウイッチといわゆる「菓子パン」だった。味が感じられないのでどうせなら安いものを、と「倹約」に力点を置いたのだった。これもイギリスで似たようなものをよく食べた。
それなりのアイルランド料理を食べたのは、いずれもディナー付きのランスダウンホテルのミュージック・アイリッシュダンスショーと、Arlingtonホテルのミュージック・アイリッシュダンスショーのとき、そしてモハーの断崖のツアーのときのセルフサービス・ランチ、だけだった。だいたいまず飲み物の注文が来る。当然「ギネス・ビール!」。味が分らなくても清涼感と気持ちいい酔いはくる。
風邪による調子の悪さで、食欲もやや減退していたので「私はあまり食べられない。何がいいだろうか?」と訊くと、皆返ってくる答は「スープ」だった。それでいわゆるアイリッシュスープも3カ所くらいで飲んだ。味は分らなかったが、ややポタージュっぽくて何か細かなざらざらした具材が入っているのは分った。調べると、玉ねぎや緑黄色野菜をミキサーですり潰したものを入れたものだったようだ。
なお、右の写真のパンに挟んだサーモンの燻製もアイルランド料理によくつくものだとのこと。
ランスダウンホテルのディナーのときのメインが、「ギネス煮込みのビーフシチュー、マッシュド・ポテト添え」だった。マッシュポテトにもアイルランドらしさを感じたが、全く味が分らなかった。
アイルランド「最後の晩餐」となったのが、Arlingtonホテルのミュージック・アイリッシュダンスショーのディナー。私は羊肉は好みではないのだが、「どうせ味が分らないし、これはアイルランドの代表料理のようだから食べてみるか。」と、「Traditional Irish Lamb Stew」を頼んでみた。
メニューの説明
真ん中にあるのは茹でたじゃがいも。右の大きな丸いものはパイ生地の「パフペイストリー」
「味がわかるまい」と思っていたが、このころ少し味覚は恢復したようで、ラムの味が少しわかった。結論から言うと、言われなければ「日本のビーフ」のような噛み応えと味で、想定外に美味しかった。野菜と肉で摂るというシチューの旨味も少し分った。私が不十分な条件下で一番美味しいと感じたのはこれだった。ただ、残念ながら風邪がまだのこっていたせいか、全部は食べられなかったが、隣の席となってちょっとお話もしたアメリカから来ていた老婦人はぺろりと全部召し上がっていた。